あなたとの距離
誰にも話せない秘密がふたりの最期を変える。
こんなに近いのになぜ触れられないの。
ただ純粋に槇君といまここに居られることがとても嬉しかった。「そんなことか。これからはいくらでも実現出来るのに。みさきさんはいつも言ってるじゃない、想えば叶うって」左肩の少し上から聞こえる彼の声はとても優しくて、なぜか泣きたい気持ちになった。──みさきは既婚者、槇君は夫の後輩──大人の二人は待った。そう何年も。恋に落ちた二人からは余裕すら感じる。でも……。