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それぞれの出版体験

戦死した父の日記が縁をつないでくれました。

はら ゆきこさん

日中戦争で1歳の時に父を亡くした、はらさん。戦没者遺族として物心ついた頃から苦労が絶えず、高校・大学時代は国会議事堂などで遺族たちの窮状や苦労を訴えてきた。
「戦争未亡人となった母が辛苦から身体を壊してしまったため、私は小さい頃から介護をしていました。父が亡くなった後に生まれた弟の孤独死にも直面しました。父の死が、家族の運命を変えてしまった。これは戦争の負の遺産であると思われて仕方がなかったのです」
長年の介護生活を終え、弟も亡くなり、身辺整理を終えた頃、学生時代からの親友に「はらさんの経験を本にしては」とすすめられ、これまでのつらい体験、父や家族への想いを綴った。
出版後、「涙なくしては読めませんでした」と、数多くの反響をもらった中に、日中戦争の遺族がいた。「私の父ではなかったのかと思う一行を発見して心が騒いでおります」――葉月さんという女性だった。本に載せた父の日記に、葉月さんのお父様の部隊が出動する箇所を見つけての手紙だった。
手紙がきっかけで、電話でも連絡を取り合うようになり、共鳴した二人は実際に会って語り合った。葉月さんに父が残した日記を見せると、胸に抱いて身体を震わせて涙したそうだ。お父様の死後、お母様が再婚。義父の手前、一人でずっと亡き父を偲び続けてきた葉月さんだったが、戦後70年経った今、ようやく大きな声でお父さんと呼べるようになったという。またこれも遺児の生き様なのだろう。
「戦争というものは、むごいものです。そして又、今の日本はなにかと騒がしく感じます。迷走しないような日本であってほしい。忘れないでほしい。私たちの父のような命があったことを…」(葉月さんの手紙より)
「いつか葉月さんと二人で本を書けたらと思っているんですよ」と語るはらさん。もう二度と戦争を起こさない為に、自身の体験を伝える手段を考え続けている。

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