蜜柑の白い花
戦争が終わっても、その傷は残り続ける…。
集団就職で上京した男の数奇な人生を描く。
昭和34年、中学を卒業した憲一は、鹿児島の桜島から、金の卵として集団就職で上京した。街には流行歌をアコーディオンで弾きながら物乞いをする傷痍兵がいたりと戦争の傷跡があったが、一方で、高度経済成長期に入り、キャバレーが賑わいをみせたりしていた。そんな東京で暮らし、働く憲一は、ある女性と出会ったことでその運命が…。戦後の日本の風景と空気を描く小説。