愛惜の記
猿橋は彼女の故郷
兄姉や義母など愛しい人たちへの万感の思いを
リアリティあふれる文体で描いた短編集。
【やはり、私が考えてきたとおり、「兄は自決したのではないか」と。自分で水分、栄養を断つ行為を選び、衰弱死を決行したのではないだろうか。「点滴を抜いて困った」と言ったのは看護師だ。そして、食事も拒否。決して病院食に問題があったわけではなく、兄は食事を断とう、と決めていたに違いない】(本文より)。愛しい人たちへの万感の思いをリアリティあふれる文体で描いた短編集。