風に乗って
「凜花」異文 ─田之倉千代松行状記─
時代、戦争、家族等、シリアスなテーマを
孫と祖父の交流として鮮やかに描いた人間小説。
昭和30年、悠が小学2年生の秋、父方の祖父田野倉千代松が突然家に転がり込んできた。舅との同居に母の緊張感漂う中、個性的な祖父は孫の悠に魅力的にうつった。壮絶な戦闘を息抜き、叙勲を受けた千代松からは、時に楽しく愉快に、時に想像もつかない昔語りが繰り広げられる。──「戦争ごっこと戦争は違う。ごっこは生き返るが本当の戦争は一度死んだら二度と生き返らない」(本文より)