慶長3年(1598)年8月18日、太閤秀吉は死んだ。於茶々は強力なうしろだてを失い、豊臣家の将来、秀頼の行末に大きな不安を抱く。その原因は、もちろん天下を狙う徳川家康である。頼りにすべき北政所(於祢)は家康の策にはまり、実力者・前田利家も死す。唯一の豊臣家忠臣・石田三成が、全知全能をふりしぼって「秀頼・茶々大事」の一点で、家康追落としのため様々に画策するが、それがかえって豊臣家諸将の反発を招く。慶長5(1600)年9月15日の関ヶ原の戦は、戦術的には豊臣方(西軍)が優勢であったが、西軍の内部崩壊があきらかだったため、勝敗は自明の理であった。

徳川政権の存続・安定を願う家康は、豊臣家滅亡に執念を燃やす。成長した秀頼に危機感を覚えたのである。家康の懐柔策に、秀頼は名を惜しみ決戦を覚悟。女として母として迷いに迷った於茶々は、幼少からの願いである浅井家再興を二の次にしてまで秀頼に従い、政治家として大阪冬の陣・夏の陣に挑む――。

斯界注目の女流歴史小説家が3年の歳月を費やし、渾身の力で書き上げた「茶々と英傑」シリーズ3部作(信長・秀吉・家康)の最終巻、遂に完成!!
1968年北九州市に生まれる。
活水女子短大卒。
2002年春『歳三 往きてまた』(小社刊)で鮮烈デビュー。
新選組ファンのみならず歴史小説ファンを獲得、史実性の高さと流麗な文章で確たる評価を得る。同年秋、敗軍会津藩を題材にした『獅子の棲む国』(小社刊)を発表、その筆力に賛嘆の声が拡がる。他に、NHK出版より『総司 炎の如く』河出書房新社『新選組捕物帖』『諜報新選組 風の宿り』などの新選組もの、幻冬舎より『忘れ形見』双葉社『黄昏に泣く』などの時代市井もの、小社より『柳生十兵衛 神妙剣』角川春樹事務所『火裂の剣』などの剣豪ものを立て続けに刊行し、独自の地歩を築いている。 そしていま茶々を主人公にした戦国大河小説を執筆し、新たな地平を切り砕いた。


『歳三 往きてまた』
冷酷と情熱の男・土方歳三を
清々しく描いたデビュー作。
定価1,890円(税込)
ISBN4-8355-3745-9

『獅子の棲む国』
忠義を貫き敗者に貶められた
会津人の「再生」物語。
定価1,890円(税込)
ISBN4-8355-4958-9

『柳生十兵衛 神妙剣』
剣豪、柳生十兵衛の青春を描く
エンターテインメント時代巨編!
定価1,680円(税込)
ISBN4-8355-6015-9
『新選組 藤堂平助』
幕末を駆けた若き剣士の
純粋な魂を描いた幻の処女作!
定価2,100円(税込)
ISBN4-8355-6652-1

『五稜郭を落とした男』
「用兵の妙、神の如し」と詠われた
神算鬼謀の将・山田顕義を描く
長編小説!
定価1,890円(税込)
ISBN4-8355-7591-1

『茶々と信長』
姪・於茶々が見た戦国のカリスマ
織田信長を描く傑作歴史小説!
定価1,890円(税込)
ISBN4-8355-9076-7

『茶々と秀吉』
天下統一を成し遂げた天下人秀吉
愛妾淀殿の目を通して描く大長編!
定価1,980円(税込)
ISBN4-286-01638-2