親子で読みたいSDGsを学ぶ絵本

世界には、忘れられた戦争がたくさんあります。
戦いの最前線に立たされた「子ども兵士」の物語、
たった今も起きている出来事です。

──TBS系 『報道特集』キャスター 膳場貴子

少女兵士ピチャ かこ さとこ/文・絵

ピチャは8歳の女の子。「子ども兵士」として、戦争につれていかれました。アフリカの国「ウガンダ」の本当のお話です。

少女兵士ピチャ──作品紹介

ピチャは8歳の女の子。
ある日突然「子ども兵士」として戦争に連れていかれました。
戦地での過酷な毎日からピチャは逃げだすこともできませんでした。

──TBS 記者・加古紗都子さんが現地での取材をもとに、
「子ども兵士」の実情を日本の子どもにもわかりやすい内容と文体にして描きます。
アフリカの国、ウガンダの本当のお話です。
巻末には大人になったピチャさんへのインタビューを掲載。

少女兵士ピチャ かこ さとこ/文・絵
定  価:
1,540 円(本体 1,400 円)
判  型:
B5判変型上製
ページ数:
36 ページ
発刊日:
2023/4/25
ISBN:
978-4-286-24137-1
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かこ さとこ──作者紹介

本名、加古紗都子。1986年、兵庫県神戸市生まれ。

2009年にTBSテレビ入社、2011年に報道局へ。政治部、デジタル編集部、社会部を経て、現在は『報道特集』記者・ディレクター。性暴力やジェンダー、児童虐待をはじめ、女性や子どもを取り巻く社会問題を中心に国内外で取材を続けている。2023年春、性暴力をテーマとしたドキュメンタリー映画で監督デビュー。
報道の世界を志したのは、学生時代にバックパッカーとしてインドに滞在中、少女たちの人身売買の現場を目の当たりにしたことがきっかけ。現在は1男1女の母。世界が大きく変わろうとしているいま、子どもたちに“世界と平和”について伝え続ける取り組みを、ライフワークにしたいと思っている。

かこ さとこ

かこさんからのメッセージ

いま、ウクライナという国で戦争が起きています。たくさんの大人が毎日、武器を持って戦っています。しかし、世界の他の国々では、大人だけではなく、子どもも兵士として、戦地に送られています。男の子だけではなく、この物語の主人公・ピチャさんのような女の子も例外ではありません。現在もアジアやアフリカなどの地域で、9万人以上の“子ども兵士”がいると報告されています。ピチャさんが経験したのは、東アフリカにあるウガンダという国で起きた戦争です。同じ国の中で起きた戦いなので、“内戦”といいます。この内戦は20年以上もつづいて、ピチャさんのように兵士にさせられた子どもたちは、4万人もいたそうです。内戦が終わってからも、子ども兵士だった人たちは、家族とはなればなれのままだったり、兵士だったことで、まわりの人たちから差別を受けたりしました。大人になっても仕事につくことができず、苦しい生活をしている人たちがたくさんいます。

ピチャさんとの出会いは、2020年3月。ウガンダのグルという町で、元子ども兵士たちの支援にあたる団体の施設を報道記者として取材に訪れたときです。そこでは、元子ども兵士たちが仕事を見つけて、きちんとした生活が送れるよう、洋服やアクセサリーを作ったり、家具を作ったりするための訓練が行われていました。その施設で学んだ元兵士の一人が、ピチャさんでした。手芸の腕をみがいたピチャさんは、その後、街の市場で仲間たちとカバンやアクセサリーを売るなどして、生計を立てるようになりました。しかし、新型コロナウイルスがウガンダでも猛威をふるうようになると、市場は閉鎖され、ピチャさんはアクセサリーを売ることができなくなってしまいました。せっかく才能を開花させたピチャさんに、夢をあきらめてほしくない……。そう思ったある日本人の起業家が、ピチャさんに動物のぬいぐるみの製作を依頼しました。“ハッピーヒッポ(幸せなカバ)”や、“ドリーミージラフ(夢見るキリン)”と名づけられたピチャさんのぬいぐるみは、間もなくして日本で販売され、その起業家が手がけるファッションブランドの人気商品の一つとなっています。

ピチャさんの話は、TBSの『News23』という夜のニュース番組で、2回にわたり放送しました。しかし、そのころから、ピチャさんのような人たちが置かれた現状を、日本の子どもたちにこそ知ってほしい、と考えるようになりました。難しいニュース番組では伝わりづらい話を、どうすれば子どもたちにもわかりやすく届けられるだろうか。そこで思いついたのが、物語をイラストにして読み聞かせる、というやり方でした。TBSでは毎年2回、『地球を笑顔にするWEEK』というキャンペーンを実施して、全国にSDGs(2030年までに持続可能でよりよい世界を目指すための国際目標)の重要性を呼びかけています。その一環で、本社前の広場で、子どもたちを対象とした読み聞かせイベントを行うことになり、ピチャさんの話を紙芝居という形で披露しました。難しいテーマの読み聞かせにもかかわらず、参加してくれた子どもたちは皆、最後までじっと耳を傾けてくれました。「二度と戦争は起こしてはいけないと思った」──イベントの後、そんな感想を伝えてくれた小学生もいました。

日本で暮らしていると、戦争の現実について知る機会は、そう多くはありません。けれど、平和なこの国に生まれたみなさんにこそ、遠い国の“だれか”のことを、知ってほしいと思っています。家の前を戦車が行き交い、砲撃の音で飛び起きる毎日をすごす、女の子のこと。爆弾が落ち、ある日突然、大切な家族を失ってしまった男の子のこと。生まれた国がちがうだけで、みなさんが当たり前だと感じる“平和”とは、正反対の日々を送っている子どもたちがたくさんいます。そんな戦争の理不尽さを知って、“自分には何ができるだろう”と考え、小さなことから行動に移してみる。それこそが、平和への第一歩になると信じています。これからの世界で、平和をつくるのは、みなさんです。

@RICCI EVERYDAY
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ピチャさんのお話

ウガンダという国がどこにあるか知ってますか?

この絵本に描かれたお話は、アフリカのウガンダという国に住む
ピチャさんが体験した、本当のお話です。
ピチャさんは2023年現在38歳。
ピチャさんに戦争のこと、今の生活のことについて聞きました。

──世界でいまも戦争が起きています。世界の国々に求めることはなんですか?

戦争で被害をうけ、生きのこった人たちが、国に対してきちんと被害について証言できるようになればいいと思います。たとえ反政府勢力にいた人でも、故郷に帰って許されて生きていけるようにもなってほしいです。
また、戦争をつづけている当事者の間で、和平交渉ができるようになればと思います。
武器を作ることで利益を得ている国々は、もっとほかのビジネスにも目をむけるべきです。そして、戦争で被害をうけた子どもたちには、『いつか幸せになる日が来るから、けっして人生をあきらめないで』とつたえ、はげましてあげてほしいです。

──日常生活でもっとも楽しいと感じるのはどんなときですか? また、近い将来、やってみたいと思っていることはありますか?

だれともケンカをしていないとき。子どもたちがごはんを食べ、健康でいて、幸せを感じているとき。私自身は、神様にお祈りしているときがいちばん幸せです。

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昨年の『地球を笑顔にするWEEK』の様子

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