文芸社文庫NEOロゴ 放送室はタイムマシンにならない 発刊記念スペシャルインタビュー 放送室はタイムマシンにならない 発刊記念スペシャルインタビュー

吉川 結衣 最新刊リリース

放送室はタイムマシンにならない

カバーイラスト:やぎこ
 / カバーデザイン:川村 香奈子

定価:本体560円+税
 / ISBN:978-4-286-22094-9

もしもタイムマシンがあったら やり直したい過去、ありますか?

放送部に所属する高1の円佳。部には「放送室でタイムトラベルができる」という伝説があった。同級生の颯哉は幼い頃に離れた従兄弟とわだかまりがあり、タイムマシンで過去に戻りたいという。颯哉から「放送部の伝説を演劇にしたい」と打ち明けられた円佳。過去にこの学校で何があったのか…。すべてのピースが揃った時、真実の舞台が幕を開ける──。高校生作家としてデビューした著者の2年ぶりの文庫書き下ろし新作。

/// 著者プロフィール 〜 YOSHIKAWA Yui Profile ///

2001年生まれ、岐阜県出身。小学生の頃から小説を書き始め、高校在学中の2018年に第1回文芸社文庫NEO小説大賞で大賞受賞。著書に『あかね色の空に夢を見る』(文芸社)がある。

才能を感じさせる新しい書き手を発掘したい──そんな思いから、文芸社文庫NEOの創刊1周年を記念して、2018年「文芸社文庫NEO小説大賞(以下、NEO小説大賞)」を企画した。記念すべき第1回のコンテストにおいて大賞を受賞したのは、16歳の高校生、吉川結衣さんだった。自身と同年代の高校生を主人公に設定し、弟と二人暮らしという特殊な家庭環境や親友の死に揺れ惑う心模様を、情感漂う静かな筆致で描いた受賞作は、2019年1月『あかね色の空に夢をみる』と改題して刊行された。

この文芸社文庫NEOからは、せつなすぎるラブストーリーとして、幅広い年齢層から熱い支持を受ける『余命10年』などの大ヒット作が誕生している。また、「小説大賞」への応募数も第2回、第3回と回を重ねるごとに増えており、いまや新たな書き手から最も注目を集めるレーベルのひとつに成長しつつあると自負している。

そして、鮮烈なデビューから1年10か月、吉川さんの待ちに待った受賞第一作が刊行される。タイトルは『放送室はタイムマシンにならない』。高校の放送室を舞台とする異色のタイムトラベルもので、書き下ろし作品だ。

大学生になり、グッと大人への階段を上った感のある吉川さんに、大賞受賞後の執筆活動や大学生活などについて話を聞いた。

※インタビューは2020年9月にメールで行われました。

NEO小説大賞を受賞して

編集部(以下──とする)少し古い話になりますが、NEO小説大賞の大賞に選ばれたことを聞いたときのお気持ちはいかがでしたか?

吉川結衣(以下「吉川」)受賞できるつもりはまったくなかったので、実感が湧きませんでした。へー、という他人事のような驚きばかりで、自分のことだという自覚は、いまだにあまりないです。

── 受賞後の周囲の反応は?

吉川 一生分のおめでとうを言ってもらいました。それから、恐れ多いことに学校でのあだ名が「文豪」になりました。貴重な体験です。

── 『あかね色の空に夢をみる』が完成して(発売になって)から、何か変化したことはありましたか?

吉川 もともと顔が広い人間ではなかったのに、「本読んだよ」といろんな人から報告をもらえるようになりました。読書をする習慣がなかった人や、好きだけど時間がなくて読めてなかったという人の、読書のきっかけになれたこともあったようなので、私でも「きっかけ」になれるのだと思えてうれしかったです。

受賞第一作について

── 新作『放送室はタイムマシンにならない』は高校の放送室を舞台にしていますが、アイディアを思いついたのはいつごろですか?

吉川 記憶が定かではないのですが、高2の秋ごろかと思います。以前から放送室を舞台にした話を書いてみたいと考えていて、タイムマシンというお供を見つけたときに、あ、書ける、書きたい、と思いました。

── 吉川さんが通っていた高校の放送室や実体験をモデルにしているのでしょうか?

吉川 そんなことはないです。放送ブースって入り口の扉が分厚くて重そうで、安易に入ってはいけない雰囲気があったので、放送室前の廊下を通るときに偶然扉が開いていたら、ちらっと中を覗いてみるくらいでした。私の実体験要素はほぼ皆無ですが、実体験なのかなと思ってもらえるくらい自然に書けていたらいいなと思います。

── 執筆期間はどれくらいですか?

吉川 高2の12月ごろから書きはじめて、高3の3月に完結させたので、1年と少しです。受験期とかぶっていることには突っこまないでください。

大学生活について

── 今年の4月から大学生になられましたね。学校では、主にどんなことを学んでいるんですか?

吉川 文章創作系の学科に在籍しているので、小説に限らず韻文や古文など、様々な分野の文章の読み方や書き方について学んでいます。少しだけですが絵本の授業もありました。在学中にたくさん吸収して、たくさん小説を書きたいです。

── 授業は面白いですか?

吉川 面白いです。これまでなんとなく読んだり書いたりしてきたことについて、基礎からたたき直されています。パソコンではなく、教室で受けられるようになれば、きっともっと楽しいのでしょうけれど……。

── そうか、新型コロナウイルスの影響で、オンラインでの授業なんですね。そうすると、大学で新しい友達を作る機会もないですよね?

吉川 ええ、まったくないです。ただでさえ人見知りなので、先が思いやられます。

── なんかかわいそう……。すると、授業以外の活動もできていないんですか?

吉川 手話サークルに入りたいなと考えているのですが、サークル活動もできない状況なので、今のうちに独学で手話の基礎を勉強しておくことにしました。視覚的に奏でられる音楽のようで楽しいです。

小説の書き方について

── これまでたくさんのお話をお書きになったと思いますが、小説の構想はどのように浮かんできますか?

吉川 日頃から、ふと思ったことや、小説の種になりそうなことを、スマホのメモに残すことにしています。たまに読み返してみると、べつの日に書いたメモ同士や、一見関係なさそうなメモ同士がつながって見えることがあるので、それらを連想ゲームのように膨らませていったり、またべつのメモと合体したりして、アイディアと呼べるものに昇華していく感じです。

── メモがアイディアに昇華して、いざ書きはじめる前に、たとえばプロットを作るとか、何か準備することはありますか?

吉川 書きはじめる時点で把握しているあらすじを、一度ざっと書き出してみて、とりあえず頭を整理します。設定が未完成だったり、結末が決まっていなかったりしますが、書きたいと思った勢い重視で書きはじめてしまいます。

── 書いている途中でアイディアに詰まるというか、なかなか話がつながっていかない場合、どうやって切り抜けているのでしょうか?

吉川 頻繁に行き詰まってしまうのですが、いつも同時進行で複数の小説を書いているので、べつの作品に移行して気分転換します。その作品で行き詰まったらまたべつの話に移行して……、元の小説に戻ってくるころには新しいアイディアを思いついているはずです。

── 何枚くらいの話にしようというのは、書く前に決めるんですか?

吉川 たいていは決めません。書きながら、登場人物たちと相談しつつ成り行きに任せます。ちょっと短めになってしまうことが多いので、長編も書けるようになりたいです。

── 小説を書くために取り組んでいる(心がけている)ことはありますか?

吉川 好きなだけ本を読むことと、上記のメモを残すことくらいでしょうか。

── 今後はどのような小説を書いていきたいですか?

吉川 優しい話が書きたいです。優しい世界に憧れています。ただ、優しい小説が求められ読まれる世界はきっと優しさに飢えているので、そこがジレンマです。

質問に対する回答を考える過程で、「自分でも、自分の小説の書き方を整理できた気がします」と答えてくれた吉川さん。大学での学びによって、天性の才能に一段と磨きがかかるはずだ。今後のより一層の飛躍を期待したい。

Amazonや楽天ブックスなど各ネット書店にてお買い求めいただけるほか、全国各書店でもご注文いただけます。

最新刊
放送室はタイムマシンにならない

定価:本体560円+税
ISBN:978-4-286-22094-9

もしもタイムマシンがあったら
やり直したい過去、ありますか?

放送部に所属する高1の円佳。部には「放送室でタイムトラベルができる」という伝説があった。同級生の颯哉は幼い頃に離れた従兄弟とわだかまりがあり、タイムマシンで過去に戻りたいという。颯哉から「放送部の伝説を演劇にしたい」と打ち明けられた円佳。過去にこの学校で何があったのか…。すべてのピースが揃った時、真実の舞台が幕を開ける──。高校生作家としてデビューした著者の2年ぶりの文庫書き下ろし新作。

好評既刊
あかね色の空に夢をみる

定価:本体600円+税
ISBN:978-4-286-20010-1

同級生の死から時間が止まってしまった主人公が
前へ踏み出すまでの葛藤を描く青春小説。

同級生・宮里の突然の死を未だ受け入れられない茜は、彼女との思い出を繰り返し夢に見ていた。家族との問題に苦しみながらも、自分が変わってしまえば宮里を本当に失くしてしまいそうで、一歩を踏み出すことができずにいた。茜の葛藤を描いた青春小説。第1回文芸社文庫NEO小説大賞受賞作品『あかね色の空に君を想う』とその後の物語『思い出のハンバーグ』を併録。『放送室はタイムマシンにならない』発刊を記念して、人気イラストレーターやぎこさんのフルカバー帯に換装!

※ネット書店掲載の書影は通常版カバーのため本ページ掲載の書影とは異なります。

吉川結衣さんが作家デビューのキッカケをつかんだ文芸社文庫NEO小説大賞は今期も開催中!
「輝かしい未来」と「限りない可能性」を感じさせる新しい書き手を募集しています。
あなたもオリジナル作品を応募して、NEO作家の仲間入りをしませんか?

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応募締切:2020年2月28日(日)

大賞受賞作は同レーベルより書籍化・出版、副賞として賞金30万円

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