考える田園
家族を愛し懐かしむ、鮮やかな記憶。
あたたかく味わい深い文章が読む者の郷愁を誘う。
昭和18年、田舎の集落に生まれた次郎。戦争の残影がかすめ、決して豊かではない時代の情景をのぞかせる幼い頃を描いた第一章「私の生い立ち」。そこから喜寿を迎え、老いた次郎が自分の周辺の出来事や心境を交えながら、世相を見渡して綴ったエッセイ風の第二章「令和の今、思い出されること」。家族を愛し、懐かしむ次郎の鮮やかな記憶は、あたたかく味わい深く、読む人の心を温める。