慎と慈恵 人の世に植える花。
今は僧侶の主人公が過去を辿る小説。
過酷な現場で、若い警察官だった慎は何を見たのか。
空手部に所属し、腕っぷしに自信があった慎だが、警察学校の厳しさは想像以上だった。卒業後最初の負傷は、デモ隊とのぶつかり合い。交番勤務になってからは、人の世の醜さ、辛さに遭遇する。交通事故の凄惨な現場、産み捨てられた赤ん坊救出、幼児の虐待事件や誘拐殺人事件、万引き、自動販売機荒らしなどを経験し、「人が人らしく生かされる本来の幸福とは」と考えるに至る迫真の小説。