れんげ草畑と青い空
私は父や母が生きられなかったその先の時間を生きている──
これまでのことを一冊に。
父に誘われて、武蔵野の雑木林の中を散策した。父は歩きながら「お母さん(フミ子母)は、自分の荷物を片付けはじめているんだよ」と言った。中学生だった私はどういう意味なのかよくわからなかった。というより、父と母の状況を理解できていなかった。25歳になって私は、フミ子母の置かれていた状況を初めてはっきりと理解した。(本文より)──亡き、父と母、そしてフミ子母に捧ぐ。