遥かなる風に呼ばれて
─陸路ロシア国境を越えて……イスタンブールまで─
ロシアからバルト三国(第Ⅰ章)、
マンを追ってヨーロッパを巡る(第Ⅱ章)旅行記。
広大な土地を活かしたロシアの街造りに驚き、エストニアの埋葬地で自分を大河に浮く一つの泡のように感じた著者は、リトアニアの十字架の丘では日本語で書かれた人間の欲望に怒りと恥ずかしさを覚えた(第Ⅰ章)。若い頃に影響を受けたトーマス・マンの産土を訪れ、トルコのアヤソフィアとスメラ修道院で詩を読む(第Ⅱ章)。行く先々で歴史的、宗教的観点から鋭く考察する著者の旅行記。