稜線は遠く
楽しさと危険とが表裏一体の登山。
本作ではその魅力が余すところなく描かれている。
一歩間違えば死と隣り合わせの冬山登山。大キレット挑戦をはじめ剱岳、槍ヶ岳、大キレット再挑戦の記録が綴られ、じつにスリリングだ。読むうちに、冬山登山の難しさ、恐怖を味わいながらも、挑戦を止めない登山者の気持ちが感じられ、難易度の高い冬山登山の実態を知ることができる。人間が持つ「チャレンジ精神」によって不可能が可能となり、進歩があるのだと本作は教えてくれる。