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「輝かしい未来」と「限りない可能性」を感じさせる新しい書き手を募集します。
文芸社文庫NEOの創刊から早5年──。このレーベルの看板ともいえる恋愛小説『余命10年』は、刊行後瞬く間に版を重ね発行部数35万部を突破。その著者小坂流加さんの第2作『生きてさえいれば』も12万部を超えるベストセラーとなり、この2タイトルだけでもいよいよ50万部に迫ろうとしています。
この、いまもっとも勢いある「文芸社文庫NEO」をプラットフォームに、新しい才能を発掘すべく2017年にスタートした「文芸社文庫NEO小説大賞」。『赤とんぼ』で初代大賞に輝いた吉川結衣さんなど、歴代受賞作も着実に読者を獲得し小説市場での存在感を高めています。
そして今年もまた、4回目となる文芸社文庫NEO小説大賞を開催いたします。まだ出会っていなかったけれど「ちゃんと、しっかり、おもしろい」。そんな“キラリ”と光る才能を求めています。旬を迎えようとするフレッシュな書き手と人気イラストレーターが共鳴したとき、セカイはもっと、光り輝くと信じて……。
文芸社文庫NEOより書籍化・出版/副賞として賞金30万円
『ココロあるく』
成績が振るわず進級すら覚束ない高校生の主人公「来夢」と、その家庭教師になった風変わりな女子大生「小夏」の日々を描いた爽やかな青春群像劇である。俗に言う「不思議ちゃん」である小夏を中心としたセンスの光る軽妙な会話が随所に散りばめられ、登場してくる個性豊かな面々との関わりを通して主人公とヒロインが互いに成長していく描写が実に心地よい。来夢の「漠然とした将来への不安」や「両親へのささやかな反抗心」、小夏への「等身大のジェラシー」など、小さな出来事の中でも登場人物の心情の変化を取りこぼす事無く描かれているため、不器用でいて純粋な青春の雰囲気を存分に感じられる小説となっている。群像劇ゆえに話に大きな起伏が見られない点は評価が分かれそうだが、安定感のある文章や繊細な表現が持ち味となって、作品を確かな魅力のある小説へと昇華させている点が高く評価され、今回の大賞作品として選出された。
4回目を迎えた今回の応募数は、過去最多だった前回よりやや少なかったものの、前々回と同じくらいの数に上り、どれも力のこもった作品ばかりであった。応募者の年代も10代から80代までと幅広く、ジャンルも多岐にわたっていた。このNEO小説大賞が新人作家の登竜門として一定の注目を集めるものになっていることの証だろう。
大賞を受賞したのは『ココロあるく』(青田風さん)であったが、その大賞作品と最後まで競っていたのは『チューニング!!』(風祭千さん)だった。音楽を題材とした青春群像劇で、主要な登場人物である高校生たちの心情がいきいきと描かれていた。ただ、肝心の音楽に関しての描写が薄く、メロディが聞こえてこなかった。音楽を文章にするというのはとても難しいことだが、登場人物の葛藤に音楽を絡めることで、音楽を描く必然性や、そこから生まれるカタルシスを味わうことができる。
書くのが難しいところこそ、書きどころでもある。その点を十全に書き尽くしたのが、大賞を受賞した『ココロあるく』だったように思われる。そのことが大賞受賞の大きな要因であったと言えるだろう。
応募作全体に関しては、着想に優れた作品が多かったものの、プロット構築に物足りなさを感じるものも少なくはなかった。プロット構築には、読書をお勧めしたい。好きな作品を見つけ、骨身にしみるまで味わい尽くす。そうすることで、構成の矛盾等、自らの作品の違和感を改善することができる。アウトプットばかりが注目される昨今においても、良い作品を生み出すには、やはりインプットも大切だと思う。
小説を作るうえで一番大切なことはやはり書くことである。自分の作り出した世界を文章にしていく作業は相当の勇気が必要であるし、そもそも書かなければ作品は生まれない。だからこそ、書くことに踏み込んだ勇者には、いっそう読書の大切さを説きたい。インプットによって自らの作品をレベルアップさせ、今後更なるチャレンジを期待したい。いずれ世に名を知られる作家になることを切に願う。