しんぼうというなのよくぼう
山陰の田舎町で、道ならぬ恋に身を焦がす男と女。
「一線」を踏み越えた二人の運命は──。
男は「それ」をしんぼうした。女は静かに恋の炎を燃えあがらせていた……。「公平は思わず彩子の手を握った。白魚のような、という形容詞がぴったりの細長くて柔らかい手だった。彩子は嫌がらず、かすかに公平の手を握り返してきた。『彩さん、もう一軒行こう。近くにいい店があるから』(第三章より)。山陰の田舎町で、道ならぬ恋に身を焦がす男と女。「一線」を踏み越えた二人の運命は──。