川筋気質とダボハゼ女
かつて炭鉱で栄えた筑豊に流れる遠賀川。
その川筋に生きる人々の気性を描いた物語。
昭和48年秋、22歳で主人と結婚した私は、この飯塚に嫁いできた。まだいくつか炭鉱が残っていた頃である。ここ飯塚で私は“アサリは買うものである”ということを知った。私の実家は海沿いにあり、子供の頃からアサリは捕って食べるものであった。でも、飯塚は海こそないが、慣れるととても住みやすい。何もかもひとまとめで官公庁関係も間近にある。──勿論暴力団組織も。