母と娘の十五年の争い
まわりを巻き込んで
老齢となり、認知症を患った母親を介護することになった
筆者の体験を綴った介護小説。
本作で描かれているのはいわゆる「老々介護」だが、その実態が克明に描かれており、読み手に強い衝撃を与える内容に仕上がっている。特筆すべきは、その絶望的な状況にあってなお母親を決して見捨てず、対立しながらも、その最期を献身的に看取ろうとしている点だ。きれいごとだけでは済ませられない老々介護の実態、親と子の絶望的な関係など、多くの見どころをそなえた体験記的小説。