平家物語の人々
稀代の戦記文学である『平家物語』を
11人の人物から読む、埼玉文芸受賞作。
「平安時代」「平安京」という名とは裏腹の不安に満ちた時代、人々は現世を末法の世と観じ、地獄が実在すると考えた。この貴族社会から武家政治に移り変わる激動の時代を、平家の興隆から滅亡するまでに焦点を当て、世は無常の思いをこめて描いたのが『平家物語』である。平家物語には多くの人が登場し、活動し、消えてゆく。その中から11人の「生」をすくい取り、稀代の戦記文学を人物から読み解く文学エッセイ。