洪水の前
〜ある選帝侯の青い花〜
14世紀のドイツを舞台に、
選帝侯の苦悩と戸惑いと生き方を模索する様を描いた物語。
選帝侯とは、神聖ローマ帝国の君主ローマ王を選定する権限を持つ諸侯のことである。本書は、中世ドイツを舞台に、独身である選帝侯ヘルムートが結婚に苦悩し、異端宗教への思いに戸惑いながら、公人としての生き方を模索する様を、花を追う物語として描いた作品。散策中に見つけた青い花がヘルムートの記憶に深く刻まれ、いつしか手に入れたいと願い続ける唯一のものとなっていく──。