『こころ』の意味は朦朧として
夏目漱石『こころ』の不明瞭さを鋭く追及し、
文豪への幻想を一蹴する意欲的論考。
夏目漱石の『こころ』は、後期三部作の掉尾を飾り、多くの人々に読みつがれてきた名作である。だが、評者は独自の観点で作中の言葉、文章をひとつひとつ取り上げていき、入念に読み解く。さらには『坊っちゃん』『彼岸過迄』など他の漱石作品、また古今東西の作家の作品をも用いるなど、多角的に『こころ』を考察。次々と問題点を浮かび上がらせ、文豪伝説に一石を投じる意欲的論考。