赤い三輪車
少年にとって三輪車とギターは戦後復興の象徴だった。
戦後すぐの世相・空気を描く小説。
「お父さんが帰ってきたら三輪車を買ってやるよ」と母。春男は昭和十八年生まれ。戦争が終わっても応召された父はまだ帰ってこない。巷では「リンゴの唄」などの流行歌が流れ、歌の大好きな春男はバタヤンになりきり「かえり船」を熱唱する。ああ、ギターも欲しい。父が復員し、赤い三輪車を買ってくれた。そして父は戦争のことを話してくれた…。一少年を通し戦後の世相・空気を描く。