南方戦線を放浪す
シンガポールをめざして
父が遺した、第二次世界大戦中、
フィリピンからシンガポールへと決死の思いで渡った記録。
「その時、低空飛行してきたグラマンが、突堤めがけて機銃掃射を始めた。せっかく泳ぎ着いた兵たちが、一人、二人と、まるで軒端の露玉が耐えきれずに落ちるように、ポロリポロリ……海中に消えて、私たちは、込み上げてくる憤りと悲しみで地団駄を踏み『畜生、鬼野郎』と叫ぶだけで、何もすることはできなかった」(本文より)。戦争の悲惨さを後世に伝えるべき、貴重な体験記となる一冊。