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巷にはいろいろな絵本のコンテストがありますが、自分は絵が描けないので絵本はムリ……、と考える人もいるでしょう。けれども、イラストなしで応募できる絵本のコンテストは少なくありません。絵本の原作となる「文章」のみを募集する「物語部門」や、「ストーリー部門」を設けている絵本コンテストもあるのです。これならば絵が描けなくても、文章さえ書ければ誰でも応募することができます。夢の間口がひとつ広がるわけですね。
ただ、絵本のストーリーというのはやはり独特で、小説や童話のような文章作品とは少し異なるポイントがあることを意識しておくといいでしょう。ご存じのように、一般的な絵本というのは、「絵と文」で表現するジャンルです。自分は「ストーリー部門」に応募するからと、こうした絵本の特性を無視することはできません。つまり、絵本の原作となる文章を書く場合には、絵本としての完成形をイメージして物語を書く、イラストと文のバランスを考えて書く――というのが重要なポイントとなるのです。
以下に、ある物語の1シーン分の文章を取りあげてみましょう。
気がつくとぼくは知らない場所にいた。
ここはどこだろう。
暗い森のなか、空には満月が浮かんでいる。
そんな森の奥には小さな光が見えた。
どうしていいかわからなかったけれど、
ぼくは光の見える場所に行ってみることにした。
現状はイラストがないので、情景の説明がされています。しかし、絵があれば、この説明は要らなくなります。そこで、
「 暗い森のなかにいる主人公
夜空の満月と森の奥に見える小さな光のイラスト 」
という、描画の指示を文章に付すことで、このシーンの文のまんなかの2行「暗い森のなか、空には満月が浮かんでいる。そんな森の奥には小さな光が見えた」というくだりは不要になります。
このように、絵を見ればわかるシーンの説明を省くことで、その箇所の記述が減り、文章はより簡潔なものになります。これが完成形をイメージした「絵と文」による表現ということです。とくに子ども向けの絵本では、あまり文章量を増やしたくありません。くどくどと説明的な文章が続くのも退屈でしょう。その意味でも、イラストの表現力を活かして文章の簡潔化を図るのは有効な方法といえるでしょう。
また、文章のどこからどこまでを1シーンとするか、その文章にはどんなイラストをあてるのかを考え、シーンごとに文章を区切って書いていくと、必要なイラストの枚数もおのずとわかってきます。こうしてページネーション(文章やイラストの要素をどのページに配置するか決めること)を意識しながら文章を起こし、絵を配置するページには具体的なイラストのイメージを文章で指示しておけばもう完璧です。つまり、「ストーリー部門」への応募だとしても、それは単に絵が添えられていないだけのことであって、頭のなかでは絵本全体のページ構成はイメージできているのが望ましいというわけです。
子ども向けの物語絵本ではなく、もっと幅広い読者層を想定したメッセージ絵本といった作品もあります。こうした作品では、やや観念的なフレーズが使われることが少なくありませんが、その場合にも具体的なイラストが付されることで、文の印象は変わってきます。たとえば、
ことばがなくても通じあえるものがある。
という一文があったとします。なんとなくわかる気もしますが、これだけではかなり漠然とした感があります。けれどもそこに、仔犬と女の子が見つめあう絵があれば、作者の言わんとすることがたちまち見えてきます。また、仔犬と女の子ではなく、笑顔の赤ちゃんを抱いたお母さんの絵にすれば、同じ文でも読み手に届くメッセージはまた違ってくるものです。
絵本コンテストの「ストーリー部門」への応募、綴るのは文だけだとしても、「絵本をつくりたい!」という思いを強くもち、絵本の全体像を隅々までイメージすることが必要なのですね。絵本は「絵と文」で表現するのだということを念頭に、イラストのイメージと文章表現を考えていくこと。もちろんこれは、イラストを自分で描いて絵本を創る場合にも意識しておきたいことです。
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